DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

東京VICTORY

カラオケ大会に行くと、自分が歌わないアーティストの曲を何十曲も聴くことができます。歌う方はアマチュアの方ですけど、歌詞も明確に歌われる方が多いですし、メロディも正確に歌おうとして歌われていますから、曲のイメージが一度で掴みやすいことが多かったりします。そういう曲の中で気になった1曲がサザンオールスターズの「東京VICTORY」という曲でした。

この作品は2014年9月10日に彼らの55枚目のシングルとして発売されました。オリコンでも1位となり、同年の日本レコード大賞の優秀作品賞を受賞しました。そして、2014年 のNHK紅白歌合戦には「シークレットゲスト」ということで、グループとしては1983年の「東京シャッフル」以来31年ぶりに出場し、「ピースとハイライト」と「東京VICTORY」の2曲を披露しました。

ぼく自身はサザンの曲を久しく聴いていなかったし、歌うこともなかったので、サザンの曲をカラオケ大会で若い方が歌ったのに驚いたんです。でもサザンも息の長いアーティストで、1980年代、1990年代、2000年代、2010年代とシングルやアルバムで1位を取ってきてますから、最近サザンの曲に初めて出会った若い世代の方も多くいらっしゃるわけですよね。

「東京VICTORY」を聴いて、桑田さんも心境とか音楽観が変わったのかなと思いました。結成35周年で活動再開してから、愛と平和をテーマにされている気がしますが、それは年を重ねて、そういう言葉を恥ずかしがらずに自然に語れるようになったと桑田さんも言われていたと思います。この作品も東京オリンピックを意識したそうですが、当初は東京オリンピックに対して前向きな気持ちが持てなかったそうです。ただ「日本は今多くの問題をかかえているけど、後ろ向きにならずに「VICTORY」な気持ちを持って前を向いて行こう」という思いを込めたそうです。歌で平和な世の中にしていこうというのはミュージシャンとしての強い思いなんだと思います。

「東京VICTORY」を作った当時は2015年発売のアルバム「葡萄」も製作中でしたが、桑田さんとしてはアメリカへのポップスの憧れはあるものの、日本語でポップスを作ろうと思ったそうで、その例えが「洋食屋」とか「ビフテキ」というのは言い得て妙ですが、アルバムのキャッチフレーズにもあるような大衆音楽への昇華なのかなって思います。このあたりって、道は違えど、筒美京平さんと同じ志向を感じたりします。「ひとり紅白」を実行する桑田さんそのものが大衆音楽の集結とも思ったりしますが。

この作品を歌う桑田さんの動画を見ていて、歌上手いんだなというのを改めて感じました。顔芸っぽいところや身振りに大抵の人はごまかされてしまいがちですが、決していい加減には歌っていなくて、リズムや音を針のようなジャスト感で合わせているのに気づきました。そしてメロディが音を運ぶように歌われていて、その音は重たくもなく、ややはずむような感じでもあり、プロの技巧の深さをジワッと感じました。ぼくも試しに「東京VICTORY」をDAM★ともで歌ってみましたが、リズムに乗って歌の高揚感を持って歌うのがポイントなのかなと思いました。


サザンオールスターズ - 東京VICTORY (at DOME)「おいしい葡萄の旅ライブ -at DOME & 日本武道館-」