DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

愛が信じられないなら

DAM★とものユーザーさんが歌っているのを聴いて、自分も歌ってみたくなる曲というのがありまして、令和初のカラオケでは、そういう曲を何曲か歌ってみました。その1曲が山内惠介さんの「愛が信じられないなら」という曲でした。

この曲を初めて聴いたのは昨年末の「第51回年忘れにっぽんの歌」で、山内さんが歌われているのを拝見したんですが、歌に華がある感じで、アレンジがいいなと思いました。作詞が松尾潔さんというのに驚きました。松尾さんはCHEMISTRYEXILEの作品でのR&Bのイメージしかありませんでしたから、まさか演歌の世界に入ってくるとは思いませんでした。作曲は山内さんの師匠である水森英夫さん、編曲は馬飼野俊一さんです。

ぼくが歌いたいと思う演歌歌手の方の曲は、ド演歌ではなくて、どこかにポップスの匂いを残した歌謡曲のような作品が多いです。「歌は3分間のドラマ」という言い尽くされた言葉がありますけど、歌はドラマチックであって欲しいというのが自分の好みとしてあるので、馬飼野さんのアレンジがドラマを際立たせてくれる感じがしました。それと、山内さんの曲を何曲か歌っているうちに、水森先生の独特の節回しがあるのに気付きました。特に低音の部分とか、ここは歌わないといけないんだなあっていうのが、ちょっとだけ見えてきました。

それで松尾さんがどうして山内さんの作品を手掛けることになったのかを探していたら、山内さんと松尾さんの対談記事を見つけました。山内さんと松尾さんって同郷だったんですね。それと水森先生と仕事を一緒になる機会があって、お声かけを頂いたんだそうです。松尾さんは水森さんが歌われた「たった二年と二ヶ月で」が好きな曲で、この曲の延長線上に水森さんの多くの作品が発展しているとの考えをお持ちで、水森作品への共感はあるとのことです。松尾さんが「R&Bももとはアメリカの黒人にとっての歌謡曲ですから」というのは、世界のどの国にも、国民に根付いた歌、大衆歌でも流行歌でもあるわけで、ぼくもこの対談記事を読んでいると、松尾さんの考えに共感することがいくつもありました。

演歌の作品に挑んだ松尾さんの気持ちは、「今までパン食だった人間が初めてごはんにトライする感じ」だったそうです。一方、水森さんや山内さんもどんな作品ができあがるのかと、その化学反応に興味津々だったそうです。この作品ができたとき、山内さんは「和からでた洋だ」と思い、「来た!」と嬉しかったそうです。

日本の歌謡曲は、演歌だ、ロックだ、ポップスだ、アイドルだと細かすぎる分類を繰り返した結果、世代を問わず誰もが知っている歌というのが非常に少なくなってしまったと思っていて、そういう歌の最新曲はおそらく、SMAPの「世界に一つだけの花」だと思ってます。いま一度、「流行歌」という一括りの中に日本の歌が集まって、演歌とR&Bのクロスオーバーのような作品づくりをしていくなかで、令和の時代の歌も生まれてくるような気がします。


愛が信じられないなら 山内恵介