DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

スワンソング

2月11日にNHKFMで「今日は一日”松本隆ソング”三昧」という番組が、12時15分から21時15分までの9時間にわたって放送されました。ぼくはまったく聴けなかったんですが、Twitterのトレンドで「松本隆三昧」というワードが上昇してました。ラジオ番組でトレンド入りするのも最近では珍しいと思います。

ぼくにとって、DAM★ともで歌っている松本さんの作品というと、KinKi Kidsの作品が多いです。その中でも好きな作品が「スワンソング」という曲です。発売直後にこの曲を聴いて「今度の新曲、すごくいいじゃん」と思い、DAM★ともでも何十回も歌った思い出があります。

この作品は2009年10月28日にKinKi Kidsの29枚目のシングルとして発売されました。作詞は松本隆さん、作曲は瀬川浩平さん、編曲はha-jさんです。この作品は曲が先に作られたところで、「この曲に命を吹き込んでもらいたい」と、光一さんと剛さんの2人から松本さんに直接作詞を依頼しました。

松本さんはデビュー曲「硝子の少年」の作詞を提供したということで、KinKi Kidsの「生みの親」になったわけですが、同時にこの曲がミリオンセラーになったこともあり、その後のKinKi Kidsの歌の世界観に影響を与え続けているとも思います。

松本さんの光一さんと剛さんへの思いも、ある意味変わっていなくて、「繊細で壊れやすい面もあるけど、苦境を乗り越える強さも持っている、そういう相反する美しさを持っている2人を表現したい」というところで、提供する作品についても、リリース時の歌だけに注目せず、歌手として歌い続けて、「10年経ったらどんな歌になるのか楽しみ」という目で見ているのが印象に残りました。

スワンソング」(swan song)は、「白鳥は生涯鳴かないが、死ぬ間際に美しい歌を歌う」というヨーロッパの伝承があって、転じて、人生最後に披露する舞台や演奏や戦い、あるいは人生の最後に事を成し遂げることを意味しています。松本さんは、ロシアのバレリーナであったアンナ・パヴロワがバレエで踊った「瀕死の白鳥」の演技を思い出し、全身で表現された死にゆく白鳥の美しさを歌詞に込めたそうです。当時の光一さんと剛さんは30才になり、ご本人たちも「アイドルという気持ちは既になかった」そうですが、30代としての新たなステージを進む思いはあったと思います。松本さんは「スワンソング」で「もっとも美しいものをやってみたかった」と語られていましたが、それは、青春の壊れやすさも、別れても生きていく強さも、美しく表現できるテーマだったのかなと思います。

スワンソング」の歌詞の世界は、遠距離恋愛が続けられなくなった2人が別れることを決めて、彼女は手を振ってくれたけど、ぼくは青空に目を伏せて船に乗り込むシチュエーションです。2番の歌詞にある「聞いて私たち 生きてる重みは 自分で背負うの 手伝いはいらない」は、前を見据えての決意だと思いますし、1番のサビにある「桟橋の端に立ち 手を振っていたけど 潮騒の中 無声映画のように ひざを折って泣いた」のは、やっぱり別れるのは辛かった気持ちが上手く表現されているなあと、カラオケで画面を見て歌っていては、常にひっかかるこの2箇所です。それにしてもこの「スワンソング」の歌に出てくる町って、松本さんが現在住まわれている神戸の町を連想してしまいます。


KinKi Kidsスワンソング