DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

さよならエレジー

いまの若手俳優の中で注目されている1人である菅田将暉さん、彼の「さよならエレジー」という曲をYoutubeで聴きましたが、役者さんとしての個性だけではなく、歌手としての本気度を思わせるような新たな魅力を感じています。

「さよならエレジー」は2018年2月21日に菅田さんの3枚目のシングルとして発売されました。作詞・作曲は石崎ひゅーいさんです。オリコンでは今のところ最高12位ですが、Youtubeの再生回数は2,000万回を超えているので、反響が大きいんだと思います。どこか懐かしさを漂わせるサウンドが作品の底流にあって、でもどこか尖っていて今どきの心の葛藤感も感じるし、ここ20年位のJ-POPの主流にあった音楽とは一線を画しているような姿勢も感じるし、ある意味での新しい作品を世に出してくれたなあと思います。昭和の芸能界というのは人気の栄枯盛衰が激しかったように思いますが、平成の芸能界は栄枯盛衰がわかりにくい面があって、芸人も歌手も役者も妙な長持ちをするというか、そのせいで新陳代謝が足りないという思いがあります。歌謡界もここ数年、変化を感じません。何か新しい音楽を一般大衆は求めているのだと思います。

さて、菅田さんはこの3月21日にデビューアルバム「PLAY」を発売しました。参加したアーティストは菅田さんが敬愛する人たちばかりだったそうで、秋田ひろむさん、石崎ひゅーいさん、柴田隆浩さん、渡辺大知さんという彼らのコメントの一語一語を読んでいると、「音楽が好きで何曲も作ったよ」という気持ちと満足感がすごく出ています。秋田さんは菅田さんを「理想に向かって走り続ける愚直な青年」のイメージで、「彼の、聴く人の胸にささくれを残す声」に何か駆り立てられる気持ちになったと。石崎ひゅーいさんは、菅田さんの舞台を見て「繊細で力強く、今にも死にそうで無骨で儚くて、それなのに美しい姿は僕の目指す表現と凄く似ているな」と思ったそうです。その後、菅田さんと石崎さんは出会って、色々な話をして、夏休みの宿題のように15曲を作り上げたと。そして音楽は最高の遊びということを思い出させてもらったと。柴田さんは菅田さんとのやりとりで、「歌詞をください」と書いたらすぐに彼から「ほんとうのこと、心の叫び」が書かれて返ってきたから、超テンションあがって、速効曲を書いてしまったと。一緒に物を作った。嘘をつかなかった。これがロックンロールだと。渡辺さんは菅田さんと好きなものの空気が似ていると感じた。誰もやってないことに挑戦してやろうという覚悟を感じます。彼が歌を歌うことは、新しい表現に飢えてる下の世代の刺激になると思うと。4人4様で菅田さんを語っていますが、音楽への思いも感じたコメントで、ぼくは音楽でのこういう会話ってすごく好きです。

さよならエレジーの歌詞の冒頭で、「僕は今 無口な空に 吐き出した 孤独という名の雲」という一節があるんですが、ここを聴いて思い出してしまったのが、京都の六波羅蜜寺にある「空也(くうや)上人(しょうにん)の像」です。

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口元から吐き出しているのは、6体の阿弥陀仏の小さな像なんですが、南無阿弥陀仏と唱えている様子を視覚的に表現しているんですよね。まあ、さよならエレジーとは関係ないですけど。


MV 菅田将暉 『さよならエレジー』 [Ost. トドメの接吻] / Masaki Suda - Sayonara Elegy (Ost. Todome no Kiss)