DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

楽園のdoor

作詞家や作曲家がアーティストに提供した作品を、自らが歌って作品として発表することを「セルフカバー」と言っています。先日、DAM★ともでユーザーさんの公開曲を聴いていたら、来生たかおさんの「楽園のdoor」を歌っているのを聴きました。南野陽子さんの大ヒット曲ということぐらいしか知らずに聴いていて、何かこのアンニュイな雰囲気はまさか…と思ったら、この作品の作曲家が来生たかおさんだったんですね。

この作品は1987年1月10日に南野さんの6枚目のシングルとして発売されました。彼女の主演映画「スケバン刑事」の主題歌となり、デビュー以来初めてオリコンで1位を取りました。作詞は小倉めぐみさんで、後にSMAPの「がんばりましょう」の歌詞を提供された方です。デビューからの作品を聴いていると、当時の事務所が南野陽子に求めたアイドル歌手像というのが決められていたようで、どの作品も底流は同じ感じがします。来生たかおさんは2枚目のシングル「さよならのめまい」を、作詞の来生えつこさんと共に提供し、来生えつこさんは3枚目の「悲しみモニュメント」を続いて提供しました。南野さんは「さよならのめまい」でベスト20入りを果たし、「悲しみモニュメント」で初のベスト10入りを果たします。「楽園のdoor」は南野さんの歌声と作品がやっと1つに調和したような感じで、前作までの作品にあったどことなくまとまっていないぼやけた感じが解消されたように感じました。

さて、自分の提供した作品が大ヒットすると、来生たかおさんは他のアーティスト同様セルフカバーをするわけですが、提供した歌手の作品のイメージには触れないようにしながらも、独自の味付けをした歌の世界を表現してしまうところがあるなあと思います。薬師丸ひろ子さんの「セーラー服と機関銃」を、「夢の途中」とタイトルを変えてまで大ヒットさせたのがその典型です。大橋純子さんの「シルエット・ロマンス」も、「茜色のシルエット」あたりの節回しを違えて、大橋さんとは違うアンニュイな世界を作り上げた歌にしています。「楽園のdoor」も、南野さんの曲は、デビュー以来編曲を手掛けている萩田光雄さんが、南野さんのイメージに即したテンポでまとめているのに対し、来生さんのセルフカバーは清水信之さんが編曲をされましたが、歌詞は結構壮大な感じの中で、女の子がけなげに生きる道を進んでいく内容ですが、来生さんが歌うと男女の性別は超えたところで、メロウな大人の生きざまを語る歌に味付けされていて何とも渋い感じがします。来生さんは「楽園のdoor」は好きな曲なんだそうです。


来生たかお 「楽園のDoor」