DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

翳りゆく部屋

グループでカラオケに行くと、自分が日頃歌わない歌を聴くことができて、曲も覚えることができます。男性も女性もカラオケで歌うのが松任谷由実さんの曲で、その1曲が「翳(かげ)りゆく部屋」という曲でした。

この作品は1976年3月5日に、ユーミンの7枚目のシングルとして、また旧姓の荒井由実さんの名義のラストシングルとして発売されました。この作品の編曲者でもある松任谷正隆さんと結婚する直前の頃なんですが、歌詞の内容は別れの歌なんですね。そして、メロディーはものすごくストレートというか、ピアノ1本で弾き語りが映えそうな感じがします。当時のオリコンでは最高10位のヒット曲なんですが、「守ってあげたい」のような大ヒット曲とは違って、「翳りゆく部屋」はカラオケで歌い継がれてきた曲という印象があります。歌いたいと思う理由は人それぞれでしょうが、ユーミンの歌い方が歌詞とメロディーを融合しているからなんだと思います。やや低めの少し乾いた独特の歌声が、別れの気配をかみしめている気持ちを現わしていると思います。荒井由実時代のサウンドは、シンガー・ソング・ライターらしいというか、今までにない音楽を作って行こうという気持ちが滲み出ているように感じます。松任谷由実時代のゴージャスなコンサートやイベントから振り返ると、素朴で無垢な音楽の世界があるんだなあと思います。

ユーミンは当初は結婚して引退し、専業主婦になるつもりだったそうです。編曲のパイプオルガンを聴くと、やっぱり結婚のイメージなのかなと思いますし、「翳りゆく部屋」はユーミンが思った「引退ソング」だったのかなと思います。「別れ」は独身の「荒井由実」への別れだったのかなと。でも、引退しなくてよかったです。日本の音楽に新しいスタイルを表現したことは立派な功績だと思います。


翳りゆく部屋 荒井由実