DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

夏をあきらめて

台風5号が日本列島の周りをうだうだと動き回って、東京は昨日の夜から半端ない酷暑が続いています。吹く風もどこか生暖かくて、真夏の夜もピークを迎えています。何か涼しげな夏のサウンドを求めて思い出したのが、研ナオコさんの「夏をあきらめて」です。

この作品の作詞・作曲は桑田佳祐さんで、オリジナルはサザンオールスターズが1982年7月21日に発売した5枚目のアルバム「NUDE MAN」に収録され、桑田さんがボーカルで歌っています。研ナオコさんはカバーということで、1982年9月5日に29枚目のシングルとして発売され、当時の人気番組「ザ・ベストテン」にも9週ランクインする大ヒットとなり、同年の日本レコード大賞で研さんは金賞を、桑田さんは作曲賞を受賞しました。

桑田さんの「夏をあきらめて」は、そのハスキーボイスが茅ヶ崎のどこか乾いた夏景色を感じさせてくれるんですが、そこにはやや蒸し暑さもないまぜている感じがします。

研さんの「夏をあきらめて」は、研さんもハスキーボイスなんですけど、独特の歌唱力が、デフォルメされた夏の一場面を切り取って描いているようで、涼しげな感じがします。

研ナオコという歌手は歌謡界の中でも特殊なポジションの歌手で、演歌歌手でもなく、歌謡曲の歌手ほどドロドロしてもいなくて、ニューミュージックの世界を巧みに歌える歌手だろうと思います。歌唱法には浅川マキさんの残影を感じるところもありますが、声を張り上げなくても歌の世界を表現できるのが素晴らしいところだと思います。

素人はカラオケで歌うときに語りながら歌うことはまずなくて、ついつい声を張り上げてしまうわけですが、それをやらないのがプロの歌手なんだと思います。


研ナオコ 夏をあきらめて (1982)