DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

君は薔薇より美しい

昭和のヒット曲のパターンの1つに、化粧品のキャンペーンソングというのがありました。日本の歌謡界を代表するボーカリストである布施明さんも、1979年春のカネボウ化粧品のキャンペーンソングとして発売したのが、「君は薔薇より美しい」でした。

作曲・編曲は当時の人気ロックバンド「ゴダイゴ」のリーダーであるミッキー吉野さんが行ったのは有名な話です。作詞は門谷憲二さんという方で、泉谷しげるさんと音楽活動を共にした後作詞家になった方です。歌手に提供した作品は、木の実ナナさんの「うぬぼれワルツ」、テレサ・テンさんの「ジェルソミーナの歩いた道」、布施明さんの「カルチェラタンの雪」と、大人の渋い楽曲が多いです。

布施さんは元々シンガー・ソング・ライター的な活動を目指していた感じがあって、自身のシングルに自分が作詞や作曲をした作品を入れています。それと、「シクラメンのかほり」以降はフォーク・ソングを志向していたところがあり、「落葉が雪に」や「めぐりあい紡いで」を発表されました。そういう布施さんにとっては久しぶりのポップなサウンドで、しかも明るいイメージの楽曲というのも珍しかったです。やはり化粧品のキャンペーンソングですから、歌の世界でも前向きな女性のイメージを出さなければならなかったんだと思います。「目に見えない翼ひろげて 確かに君は変った 歩くほどに踊るほどに ふざけながらじらしながら 薔薇より美しい ああ 君は変った」と生まれ変わったように美しく輝くようになった女性の姿を打ち出しています。

ぼくもDAM★ともでこの作品を歌うことがありますが、とにかく難しいんです。低音から高音へ跳ね上がる箇所が多いですし、最後の「あああああ 君は~ 変わったあ~」のところは音階をころころ変えたあとで、最後に高音でロングトーンですから、非常に肺活量が必要な歌です。布施さんのボーカリストの実力がなくてはとても歌いこなせません。紅白歌合戦では1979年(昭和54年)に初めてこの作品を披露しましたが、この時はサングラスをかけてギターを弾きながら堂々と歌いきっています。その後、2003年、2007年、2008年の紅白歌合戦ではタキシード姿でおしゃれなアレンジで披露しましたが、その歌声はますますパワフルになっているのには尊敬します。こういう布施さんのステージを見た若い世代の人は、布施明の作品というと「君は薔薇より美しい」を挙げる方が多いと思います。


君は薔薇より美しい / 布施明(1979)