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DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

帰らざる日のために

DAM★ともを始めてから色々なジャンルの歌を探すようになりました。自分の中でおぼろげに一節を覚えていた歌も、インターネットで検索して、ようやくその作品がわかったものもあります。いずみたくシンガーズの「帰らざる日のために」もそんな1曲でした。

この作品は1974年に放送された「われら青春!」の主題歌として、作詞は山川啓介さん、作曲はいずみたくさんによって作られました。いずみたくさんは当時の日本テレビで放送されていた「青春学園ドラマ」の音楽に関わっていて、1972年に放送された「飛び出せ青春」の主題歌となった、青い三角定規の「太陽がくれた季節」も作詞が山川さん、作曲がいずみさんによるものです。当時のドラマは主題歌とは別に挿入歌も作っていて、「われら青春!」では主演の中村雅俊さんが歌った「ふれあい」(この作品も作詞は山川さん、作曲はいずみさんです。)はオリコンで10週連続1位となるミリオンセラーとなりました。

「太陽がくれた季節」と「ふれあい」に挟まれて、やや印象の薄い「帰らざる日のために」ですが、当時60万枚の大ヒットとなりました。この作品を歌ったのはいずみたくシンガーズというグループなんですが、いずみさんは1972年頃からミュージカルの制作とあわせて、ミュージカル俳優の養成を始めていて、青い三角定規に続くグループの結成を目論んでいたようで、男女混合のグループを結成したようです。この作品を聴いた印象としては歌っているメンバーの発声がとても聴きやすいことと、男女混合のコーラスが、いわゆる合唱のコーラスではなく、ミュージカルの萌芽のような感じがしました。コーラスとしては当然ハーモニーができていて、加えて各人の声が混ざりあうことによる化学反応も醸し出しています。青春がテーマの作品なので、群像劇のようなステージを標榜していたのかなとも思いました。

歌詞もいい内容だと思います。「愛する人がいるなら 求めるものがあるなら なんにも怖くはないさ そいつが青春 涙は心の汗だ たっぷり流してみようよ 二度と戻らない 今日のために」と今を生きていこうというメッセージが強く込められています。

いい作品は今もしっかりと受け継がれていて、いずみさんが立ち上げたミュージカル劇団は現在、ミュージカルカンパニーイッツフォーリーズとして続いています。彼らがこの作品をカバーしているのを聴くと、いずみさんの精神のDNAは生き続けていたんだなというのを感じました。

作詞家の阿久悠さんが1970年代について「青春という言葉がまだあった」と評されていました。確かに、夕日に向かって走る青春学園ドラマのような、心と心が激しくぶつかり合う場面は少なくなったのかもしれませんが、そんな表層とは別に、日本人の心の底流は意外に変わってないような気もします。


●帰らざる日のために~いずみたくシンガーズ


いずみたく作曲「帰らざる日のために」イッツフォーリーズ