DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

針葉樹

DAM★ともでは、他のユーザーさんに歌ってほしい曲があって、そのユーザーさんが「リクエストを受け付ける」設定をしていた場合に、リクエストをすることができます。ぼくは日頃はリクエストを受け付けない設定にしていますが、気紛れで受け付ける設定にしていた時に、リクエストが来たのが、野口五郎さんの「針葉樹」でした。

「針葉樹」は1976年(昭和51年)9月10日に発売されたシングルで、作詞は麻生香太郎さん、作曲は筒美京平さんです。野口さんはこの作品で、日本歌謡大賞の放送音楽賞などを受賞し、この年の紅白歌合戦に5年連続で出場となりました。ただ、ぼくはリクエストをいただいた7年前はこの作品を全く知らなかったので、youtubeで何回も野口さんが歌っている映像を見て覚えたところで、DAM★ともに公開しました。作品の印象としては「暗い曲」で「音階の難しい曲」でした。野口さんは歌番組でも話している時は穏やかな表情なんですが、曲のイントロが始まった途端に凛々しい表情に豹変して、歌の世界に入っていくのが特徴です。冒頭から「あなたのかなしみは 雪で出来ている」と、男女の別れから歌詞が始まります。それでサビに入ると、筒美さんお得意の、音階が高音と低音を行き来する感じで進み、「木枯しに耐える」で勢いをつけて、「針葉樹の」で強く歌って、「りりしさのように」とまとめるように歌って、1コーラスが終わります。野口さんは筒美さんを「ぼくの師匠」と話していました。何曲かレビューをして思ったのは、筒美さんは、他の歌手に対してよりも、野口さんには自分の曲に挑戦してほしいという思いがあったようで、若いアイドル歌手が歌うには厳しい楽曲だと思いますが、それは野口五郎という歌手が好きで、期待が大きかったんだろうなと思いました。

一方、歌詞もかなり難解で、「男のいのちのかぎりを尽し」「男の炎のすべてを燃やし」愛したつもりだから悔いはない、だから「まっすぐ行くがいい」「そのまま行くがいい」と強がって見せる男のいじらしさを描いているのだと最近わかるようになりました。ここでは女性は「針葉樹」に例えられていて、2番の最後は「春をめざし あなたよかがやけ 薄れ陽を仰ぐ針葉樹のまなざしのように」で締めています。

針葉樹は英語ではsoftwoodとも言われ、先が尖った細い葉をつけていて、木はまっすぐ伸びていて、材質は軽くて柔らかいそうです。一方、広葉樹は英語ではhardwoodとも言われ、扁平な形の広がった葉をつけていて、木は太くて曲がっていて、材質は重くて堅いそうです。だから、さしずめ、針葉樹は女性で、広葉樹は男性という感じなんでしょうか。作詞家の方はいろいろと勉強するんですね。