DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

老女優は去りゆく

美輪明宏さんといえば「ヨイトマケの唄」で2012年の紅白歌合戦に77才で初出場し、そのパフォーマンスの素晴らしさに圧倒されましたが、その後ぼくがyoutubeでたまたま出会った「老女優は去りゆく」を初めて見たときは、それ以上の衝撃がありました。

この作品は、その日で引退する女優が思い出の劇場で、16才でデビューして、長い下積みの後の端役でも嬉しくて演じ、段々と主役になれて人気絶頂になったのもつかの間、公私ともに不運が起きて人気もなくなり、酒を飲んで酔い潰れ、いったんは落ちぶれたものの、再び通行人の役から這い上がり、再びスポットライトを浴びるまでにカムバックし、そして年老いた今日、この劇場で引退していくという女優の半生を描いたものです。

ヨイトマケの唄」がメイクもせず白の衣装だけで歌うのに対し、「老女優は去りゆく」では黒いロングドレスに身を包む女装の美輪さんが、歌ーセリフー歌の構成で、老女優を見事に演じています。

最後のフレーズ「出ていくまで 灯りは 消さないでね」で、1回目は老女優が弱弱しく訴えるように歌い、2回目は最後の叫びのように訴えるように歌い、もうコンサート会場が憑依してしまっている雰囲気を漂わせていました。

昨日は三波春夫さんの「俵星玄蕃」を紹介しましたが、美輪明宏さんも1人ミュージカルのようで、日本流シャンソンのようであります。三波さんと美輪さんはジャンルや歌のテーマは違うけれど、芸能人として自分が信じた道の芸を披露する姿勢は一緒なんじゃないかなと思いました。そして、お2人とも、とても後の者が引き継げない唯一無二の世界を作られています。

DAM★ともでこの曲に果敢に挑戦されているユーザーさんがいました。挑戦すること自体素晴らしいと思いました。