DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

ざんげの値打ちもない

「ざんげの値打ちもない」は1970年に北原ミレイさんのデビュー曲として発売されました。作詞は阿久悠さん、作曲は村井邦彦さんです。ぼくはこの曲をしっかりと聴いたのは2008年頃、阿久悠さんが2007年に亡くなられて、NHKの歌番組で阿久さんの往年のヒット曲を振り返る番組を見てました。おなじみの歌手たちが有名なヒット曲を披露し、北原さんがこの曲を歌ったときに、北原さんの歌の表現力のうまさ、説得力にも感心しましたが、阿久さんの書いた歌詞の迫力、それをドラマチックに奏でる村井さんの曲、なんて思いっきり暗い曲だけど、底力のある作品だと思いました。

ぼくが昔の歌謡曲に魅かれるのは、歌の世界がドラマチックだからなのかもしれません。この曲の歌詞はある女性の壮絶な半生をテーマにしてて、一番は14の頃は愛が欲しくて、二番は15で安い指輪を贈られて愛を捧げて、三番は19で男に捨てられてナイフを持っていて、幻の四番では刑務所で服役していて、最後の五番では「ざんげの値打ちもないけれど 私は話してみたかった」で終わります。この歌詞を北原さんが「あれは二月の寒い夜」と歌うとその情景が目に浮かんでくるのは歌の上手さだと思います。北原さんは他にも「石狩挽歌」という大ヒット曲を持っていますが、なぜか紅白歌合戦に出場されたことはありません。阿久さんにとっても「ざんげの値打ちもない」は、作詞家として数多くの作品を発表した中で強く思い出に残っている作品だったそうです。そして作曲家の村井さんは「翼をください」を作った方でもあるんですが、こういう曲も作るんだと仕事の幅広さに感心しました。

DAM★ともでは数多の曲が配信されてますが、いくら素人が歌っても、その歌の世界は欠片も再現できないものもあって、この曲もその1つだと思いますし、歌っている歌手は本物のプロフェッショナルだと思います。